思考・妄想の外部化-経営コンサルタントの頭の中-

仕事や読書、人々との会話を通して若手コンサルタントが日々考えている事を不定期にアウトプットしています。ビール好きなのでそれに関することも多少。

トランセンデンス レビュー考察

※ネタバレを多く含みますのでご注意ください

 

まず全体の総括として感じたのは、作中に出てくる技術にどの程度のリアリティがあるのか、ということである。現実世界で実現が見えている技術と完全なSFの中間にある不思議な映画であると感じた。ここから、劇中に出てきた色々な技術について考えてみたいと思う。

あらゆる情報を整理

劇中では、アップロードされたAIが瞬時に世界中の防犯カメラをハックし、テロ組織の居場所を特定、テロリストの逮捕に貢献したシーンがあった。

これは、googleが目標として実現しかけている「世の中のあらゆる情報を整理する」ということにとても似ているなと感じた。現実にgoogleではAI(プログラム)がインターネット上のあらゆる情報を接続し、自動で分析しその結果を返している。

人体の再構築

劇中に、ナノマシンによって体細胞をが再生し怪我をした人が治療される描写があった。

この技術も、近年のiPS細胞技術等による再生医療技術の急速な発展を考えると、そう遠くない未来に実現されると考えられる。

この技術を突き詰めていくと自分の細胞を基にして、人体全体を再構築できることになると思われる。この時、脳以外の全ての部分が再構築された組織と交換された場合、それはまだ自分であるといえるのだろうか。

この問いに対しては、Yesと答える人が多いように思う。

知能の再構築

一方、本作中であったマインドアップローディング(脳神経のコンピューター上での再現)された知能は、はたして本人といえるのだろうか。仮にインプットに対して本人と100%同じ反応を返すアップローディング*1が可能になったとして、同じ個体といえるのだろうか。

もしこれへの返答がYesの場合、マインドアップローディングと細胞の再生の組合せによって、不老不死の個体が実現される。

脳はずっとアップロードされたコンピューター上に存在し、体細胞は不都合が生じ次第再構成した部分と入れ替えを実施する。このサイクルは半永久的に継続することが可能になる。

この不老不死の個体が実現したときに、今までのSFで書かれていたよりもリアルな形でコンピューターが人類を支配する構造が出来上がるように思う。つまり、従来は人間だったリーダー層、富裕層が自分をアップロードし不老不死を手に入れる、そしてそれらの個体が、他の人類を半永久的に支配する構図である。*2

 このようなことを考えていて、技術の発展にわくわくする共に、ぞっとした。

 

 *1

ただし、100%同じ返答をするということは、悪魔の証明のように証明できないのだろう。(本作中でも結局アップロードされたウィルが本当にウィルとしての自我を持っていたのかについては断言できないような表現がされている)

 

*2

コンピュータによる分析結果に基づいて、行動を管理されている工場労働者や、倉庫の労働者ってひょっとして、この将来像とおおきくは変わらないんじゃないかという疑問も生じた。