思考・妄想の外部化-経営コンサルタントの頭の中-

仕事や読書、人々との会話を通して若手コンサルタントが日々考えている事を不定期にアウトプットしています。ビール好きなのでそれに関することも多少。

影響力の武器-人を効果的に動かすために知っておくべき6つの法則-

今日は、日々仕事をしていく中で「チームメンバー・クライアントに効果的に動いてもらうにはどうしたらいいんだろう」と課題を持ったときに、出会い、参考になった本を紹介します。

みなさんも1日24時間という有限な時間の中で、多くのタスクを抱え、1人では裁ききれないことがあるでしょう。また自分の知識、能力ではできないことは山ほどあります。そんな状況でも成果を出すには、人に効果的に動いてもらうことが必要になります。言い方を変えれば「人というレバレッジをかける」ともいえるかもしれません。

このように、人に動いてもらうときに、自分が命令できるような立場であれば簡単なのですが、多くの場合はそんなシチュエーションではないですよね。

そこで「感じ悪くなく、自分の思うように人に動いてもらう」ということがとても大切になると考えられます。

今回紹介する本では、心理学に基づき、人に「Yes」といわせ、動いてもらう6つの法則が述べられています。

一貫性

人は、自分の言動に筋を通したいという性質を利用した法則です。

多くの人は言ったことは守りたいと考えています。したがって、一度Yesと言ってしまうとその後に追加要求が来てもなかなか断りづらく、この性質を使って要求を通すということが考えられます。

心理学の世界でも「フットインザドア」といって、最初に小さなお願いをして、それにYesといわせることによって、その後により大きな、本当にやってほしいお願いをすると効果的といわれています。

 

返報性

人に何かをしてもらうと、それに対してお返しをしなければいけないと感じる性質を利用した法則です。

最初に大きな要求を提示し、相手にそれを断らせ、こちらが譲歩する。それによって相手は罪悪感を感じ、「こちらも多少譲歩しなければいけない」と感じます。その後にこちらから本当の要求を提示することにより、相手から譲歩を引き出しYesと言わせることができます。

ただし、注意点として、最初の大きな要求があまりに大きすぎると、相手から「誠意がない、真剣に考えた提案ではない」と感じられてしまって効果が薄れることがあります。

これを心理学では「ドアインザフェース」と呼びます。

社会的承認

いわゆる「みんなやっているから」という法則です。

他人がすでに実施しているという事実を伝えることによって、その要求の効果や正当性を暗に示すということだと思います。

日本では特に効果が大きいように感じますが、グローバル共通で効果はあるようです。

 

好意

信頼している人や、好意を持っている人の要求は断られないという法則です。

信頼を得るためにこちらから好意を示す、相手の話を理解する、共通点を提示するといった取り組みが必要になるかと思います。

また、外見もこの信頼や好意に影響を与えるといわれており、外見がいい人はそれだけで信頼に値するというハロー効果があるといわれています。

権威

社会的地位や権力に従うという非常にシンプルな法則です。日本の会社組織の中で人を動かすにはこれが一番有効かもしれません。

本来はあるべきではないのでしょうが、「何を言ったか」ではなく「誰が言ったか」に基づいて人の動きのよさが変わることはよくあることです。

必要に応じて、権力のある人を通じて発言してもらうということはとても効果的で、そのための調整は非常に重要になると感じています。

希少性

珍しいもの、今しか得られないものに対して人は価値を感じYesと答えるという法則です。

希少性には期間、数量、タイミングの要素がありそれぞれに対して、手に入りにくいものに人はより価値を感じます。

 

※余談ですが、本書中ではそれらの法則をセールスマンや詐欺師が使っている事例も多く紹介されていました。自分が何かを頼むときだけでなく、誰かから不都合な依頼をされたときの防御策としても、相手がどのような方法を使っているのか把握しておくべきだと感じました。

 

「一貫性」「返報性」「社会的承認」「好意」「権威」「希少性」

これらの法則を把握した上で、より人に効果的に動いてもらう方法を考え、頼み方を工夫してみるとよいのではないでしょうか。

また、このような心理学知識について全般的に言えることですが、「知っていること」「意識すれば使えること」「無意識に出てくるレベルで身につくこと」の間には大きな違いがあります。まずは意識すれば使えるレベルを目指して、日々トライアルを重ねることが大切だなと思います。