リバースイノベーション―現地化という発想からの脱却―
3月の1冊目はリバースイノベーションです。
リバースイノベーションとは、新興国のニーズに合わせて開発された製品、サービスが
先進国においても市場を席巻し、大きなビジネスになることを言います。
著者はGEで実際にリバースイノベーションとなる心電図計のビジネスにかかわった経験を持ち、
多くのケーススタディとともにその概念を説明しています。
今後、新興国の成長企業がどんどんと先進国に押し寄せてくることを思うと、
日本の企業も早急に発想を変えなければと危機感を覚える本です。
グローバル化が進み内需の縮小する現在は、新興国へのビジネス展開が必要という主張は、多くの日本企業において意識されており、徐々に海外展開も拡大しています。
ただし、この時の発想として、日本や先進国で開発した製品、サービスを
現地向けにローカライズあるいはランクダウンさせ、ローコストモデルを販売するという考えがいまだに
根底にあるように思います。
著者はこれを完全に否定しており、新興国と先進国ではニーズが大きく異なるので、ゼロベースで
ニーズを把握し新しい製品、サービス、プロセスを創造しなければ、成功することはできないと言っています。日本の電器産業が新興国でニーズをつかみきれず、一方でサムスンが現地に人を送り込んでニーズ把握に注力、成功していることも、この一例として挙げられるのではないでしょうか。
「サムスン 地域専門家」
http://www.samsung.com/jp/
最近のニュースを見ると、日本企業もようやく新興国に予算と権限を与えて、新商品を開発するスタンスになってきているようです。
「ご当地家電 アジアつかめ」
http://www.nikkei.com/paper/
日本企業も、まずは新興国でニーズをつかみ、ローカル向け製品を開発するだけにとどまらず、リバースイノベーションになるような製品群を生み出せるようになったとき、復活が見えてくるのではないかと思います。そしてそのために貢献することを目指して私も微力ながら力を尽くしていきます。