思考・妄想の外部化-経営コンサルタントの頭の中-

仕事や読書、人々との会話を通して若手コンサルタントが日々考えている事を不定期にアウトプットしています。ビール好きなのでそれに関することも多少。

カンボジア旅行記-デザインの変遷と機会均等な社会についての考察-

先日のGWを利用して、カンボジアに旅行してきました。

アンコールワットをはじめとする遺跡群、自然、現地の人々の生活を肌で感じ、圧倒されつつ、色々なことを思ったので忘れないように以下の2点について書き残しておきたいと思います。

1.アンコール遺跡に見る人と自然の偉大さ

2.人々の生活から見る機会の不均等

 

1.アンコール遺跡に見る人と自然の偉大さ

アンコールワットは12世紀にヒンズー教の寺院として30年以上の歳月をかけて建設したと言われています。建設機械も電気もない時代に、これほどの大きい寺院を建設したということにまず驚きました。何万人もの人が30年もかけてこれほどのものを作り上げるということに当時の王朝の偉大さを感じるとともに、組織として動くと大きなことを成し遂げられるという感動がありました。

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アンコールワット正面)

さらに、この遺跡はただ大きいだけでなく、ほぼすべての壁にとても緻密なレリーフが施されています。(下記写真参照)この壁ひとつを作るだけでもどれだけの時間がかかったかと想像すると気が遠くなります。

この時代において、巨大な建造物を作ること、さらにそれに緻密な装飾を施すことによって、王朝の権力を誇示するという効果は絶大だったでしょう。

近年の建築、プロダクトデザインにおいては、機能美とも言うべき、装飾を最低限に絞ったデザインが流行していることを考えると、そのようなデザインの変遷も面白く感じました。そのようなデザインの変遷については「日本のデザイン」という書籍に詳しく述べられています。

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 (インド古代の抒情詩における戦争のシーンのレリーフ

 

 一方で、シェムリアップ周辺の遺跡には樹木によって覆い隠されたり、破壊されている遺跡も数多く存在します(下記写真参照)

これらの遺跡を見ると、人間が作った偉大な建造物も、自然の偉大さと比べると大したことのないように思えます。遺跡の岩の上でもしっかりと根を張り空高く伸びている樹木には、森やジャングルの中で見るのとはまた違った生命力を感じました。ちなみにこれらの遺跡はジブリ映画「天空の城ラピュタ」のモデルになったとの噂もあるそうです。 

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(タプローム

2.人々の生活から見る機会の不均等

また、遺跡間を移動する中で、現地の人々の家屋を目にしましたが、多くはトタンの板で壁や屋根を作っている非常に簡単なものでした。

遺跡は王朝の指示の下、多くの人と時間をかけて建設したものなので、もちろん現在の一般住民の家と比較するものではありません。それでも、遺跡を建設した当時と比較すると、建設機械もありますし、家屋を建てる技術も向上しており、もう少ししっかりとした家屋が建っていてもよいのではないかと感じました。

ここからは完全に仮説ですが、彼らの多くは日銭をギリギリ稼ぐような職業(トゥクトゥクの運転手や、パパママストア、お土産品の販売、建設現場の作業員等)についており、住宅ローンを組んだり、金融サービスを利用することは難しいのではないでしょうか。

このように、その日を何とか暮らすことにギリギリの状況では、その生活以外のチャレンジをする選択肢がないだろうと感じました。

多くの途上国に見られる環境ですが、この状況では、彼らにとって、自分たちのやりたいことや夢にチャレンジする機会・選択肢が圧倒的に不足しています。

それぞれが努力した結果として不平等が存在することや、一定レベルの格差は受け入れるべきだと考えていますが、最初から機会が与えられないというのは望ましくないと感じました。

そして、ふと、以前紹介した本の著者 慎 泰俊さんが代表をされている、貧困の削減を目標としたNPO「Living in Peace」のことを思い出しました。今度時間を作って話を聞きに行きたいと思います。

www.living-in-peace.org

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長くなりましたが、カンボジアは過去の人類の偉大さ、自然の偉大さを同時に感じられる、すばらしい国だと感じたので、ぜひ再訪したいと思います。