思考・妄想の外部化-経営コンサルタントの頭の中-

仕事や読書、人々との会話を通して若手コンサルタントが日々考えている事を不定期にアウトプットしています。ビール好きなのでそれに関することも多少。

起業家養成セミナー感想ー自分のビジネスを持つことー

先日、起業家の方が開かれている起業家養成セミナーに参加しました。

実際に起業を経験されている方から、成功談だけでなく、失敗談やそこでどんなことを学んだかについても赤裸々に語っていただき、学びが多くありました。

自分として今すぐ起業する予定は無いですが、参考になる考え方は多くあったので共有したいと思います。

今すぐ起業するわけでなくても自分のビジネスを持つことはプラス

現在ではAWSを始めとする様々なクラウドサービスの普及によって、1人や小さなチームでもビジネスを始めやすくなっています。そこで小さなトライアルを回しながら、低リスクに市場からフィードバックを得ることは、起業の成功率を高めると同時に、企業で働きながらでも個人としてビジネス全体を見る経験を得ることにつながります。

このようにビジネス全体を見ることは、仮に企業の中で働き続けるとしてもいい経験になると感じました。(前回のブログでも書いた点です)

自分としても、小さなサービス、ビジネスでいいので全体を見ることを目指したいと思います。

V字回復の経営@三枝匡ー組織における多くの問題の原因とタコツボを割れる人の重要性ー - 思考・妄想の外部化-経営コンサルタントの頭の中-

また、「チームの拡大や、資本の投入は必要に迫られた時に初めて実施する」という考え方も、経験に基づいているが故にリアルで参考になりました。起業家の方は、「まずは個人事業主として、あるいは創業チームが持続可能な収益を得ることを最初のゴールにすべき」とおっしゃっていました。

そして持続可能なビジネスモデルでとにかく場数を踏んで、経験を蓄積させ、いざ規模を拡大したいというタイミングでチームや資本の拡大をすべきとの考えです。

最近はベンチャー投資が活況なこともあり、本当に必要か明確でないまま、見栄のためやハクを付けるためにVCから投資を受け入れているケースも多いのではないでしょうか。このような状況に対して、ある起業家の方が「資本を投入するとどうしてもそれを投資に充てないといけないというプレッシャーが働き、効率の悪い投資をしてしまった。結果として業績は悪化した。」とご自身のご経験を語っていたのがとても印象的でした。 

チームを拡大するときにはメンバーの想定するゴールの高さ、価値観が合うことが最重要

また、起業家の方の別の失敗談として、メンバー間で価値観が合わなかったことを語られていました。創業メンバーの1人はとにかく短期間にスケールすることを目指し、一方その起業家の方は、顧客の顔が見える形で着実に成長していきたいと考えていたそうです。結果として、2人の意見は折り合わず、チームは解散することになってしまったといいます。

また、メンバー間で1人は年商10億円規模を目指していて、一方他のメンバーは1兆単位の企業を目指している場合にも、やるべきことのレベル間が合わず組織としては機能しないでしょう。

やはり、どのような価値観でどこを目指してビジネスを進めていくのかという根本の考え方がずれてしまうと、いかに優秀な人を集めても組織としては機能しないのだと改めて実感しました。

これは企業の規模によらず同様であり、価値観・信念がメンバー間である程度一致しているということは組織がうまく機能する大前提なのではないでしょうか。

(これについても以前考察しました。)

正しい判断は、最初の3秒で決まる -信念と直観の重要性- - 思考・妄想の外部化-経営コンサルタントの頭の中-

 

企業価値には将来稼ぐ利益が蓄積していく

最後に、現在組織の従業員として働いている自分には全くなかった視点があったのでシェアしたいと思います。それは起業家は経営者であると同時に資本家=株式保有者であり、その企業の将来の利益を織り込んだ資産を保有できるということです。

起業し、その会社の株式の多くを持つということは、企業としての資産そのものを保有するということになります。これを起業家の方はB/S的報酬と呼ばれていました。

このB/S的報酬はIPO事業売却を想定する場合、その規模は給与として手元に入ってくる報酬(P/L的報酬)とは桁が違うものになります。

このようなことが起こる背景として、企業のバリュエーションの方法があります。

企業の時価総額はその企業の将来稼ぎだす利益の総計を現在価値に割戻すことによって計算できます。(詳細は下記リンクを参照ください*負債の価値は割愛)

企業価値ってな~んだ? | BPnetビズカレッジ

つまり、株式の多くを保有する起業家は、将来企業が生み出す利益を現在の株式資産として保有できるということです。

ただし、起業家=株主=経営者の場合はすぐにその株を売り抜けるということは簡単ではないので、同額の他社株式と比べると流動性の低い資産ではありますが。

B/S的観点で収入を考えたことはなかったのでとても参考になりました。 

 

今回のように視野の広がる機会にはこれからも積極的に参加していきたいと思います。