ザ・ファシリテーター -チームをよりよく機能させるには-
コンサルタントという仕事をしていると、社内外問わず会議のファシリテーションを担当することが多いです。その中で、参加者がそれぞれ納得し、目的を達成できる会議もあれば、反対に論点がぶれ、発散してしまって時間ばかりが過ぎる会議や、参加者から全く意見が出ないような会議もあります。
会議において目的を達成するために、ファシリテーターが持つべきスキルや心構え、うまくいくためのコツについて把握したく、今回紹介する本を読みました。
ちなみにこの本を読むのは2回目で、1回目は学生時代に読んだのですが、正直しっくりこなかった本です。しかし、今回社会人として会議を運営する経験を経た上で読むとためになる部分がとても多く、同じ本でも受け取る側によって得られるものは大きく異なるなと改めて実感しました。
以降に、本書から得られた学びをまとめたいと思います。
大前提:会議の目的を明確にすること
あまりに当たり前かもしれませんが、会議の目的、何が達成されたらこの会議が成功といえるのかを明確にすることが重要です。
会議によって目的は様々です。情報共有・報告、意思決定、合意、意見の発散、、、これらの目的の認識があっていない状態で会議を進めても決してうまくいくことはありません。日々の業務の中で、実施すること自体が目的になってしまっているような会議もありますが、改めて一つ一つの会議は何がゴールなのか問い直してみるとよいかもしれません。
相手の反応を想定したシミュレーション
会議のゴールを明確化したら、次に行うべきはゴールまでどのような道筋で到達するか設定することです。まずはこちらとしてゴールに向けて必要な論点や合意事項を洗い出しますが、当然ながら会議には参加者がいますので、それぞれ参加者の反応を予測して、それを先回りした準備を行うことが重要になります。
そして、相手の反応を正確に予測するには、相手がどのような性格か、この会議に対してどのような期待やモチベーションを持ってきているか、立場上どのような利害関係があるかなど参加者の背景を把握することがとても重要になります。
その上でカオスを歓迎すること
ただし、いくら相手の反応をシミュレーションしたところで、100%想定どおりに進めることはできません。また、さらにいえば想定外のやりとりが発生することは、必要なプロセスであり、歓迎すべきことです。
会議を実施する場合、最終的な目的は翌日以降の参加者の行動に何か変化を生むというケースが多いです。その際に、ただ行ってほしいことを伝達するだけでは機能しないことが多く、その前には混乱(カオス)が必要であるという考え方があります。
本書の中ではタックマンモデルと呼ばれる、フォーミング、ストーミング、ノーミング、パフォーミングという段階を経てチームが機能し始める考えかたが紹介されていました
最終的には同じことを決定していたとしても、参加者が「自分で決めた」と思えるか、「やるように指示された」と思われるかによって、以降のモチベーションや動きの変化に大きな差が生まれます。
いくら主催側としては論理的には正しいとわかっていることでも、参加者に混乱→整理という思考を経てもらうことによって、きちんと腹落ちさせるというプロセスは経る必要があるといえます。
この話と関連して、以前上司が、ファシリテーターの持つべきマインドセットとして、「カオスを歓迎する。自分の想定していたゴールへ誘導するのではなく、相互の考えを止揚させる。」と言っていたのですが、「まさにそれ!」という感覚でした。
議論を可視化すること
上記のように当初想定していなかった領域に議論が及んだ場合、本当のカオスに陥ってしまうと、議論がかみ合わなくなったり、何が論点なのかわからなくなったり、全体の中で自分たちがどこにいるのか迷子になるというケースも会議をしているとよくあることです。
このようなときに、参加者それぞれの発言を構造化し、全体像を示した上で論点を整理すること、またそれをホワイトボードや紙に書いていくことによって、参加者の共通認識を生み出し、議論の迷子を防ぐことがファシリテーターの重要な役割です。
このように、議論を可視化し、参加者みんなで同じイメージを持ちながら議論を進めることで、誤解や空中戦、論点のずれを防ぎ、より高速に目的に向かって進むことができると考えられます。
まとめ
1.目的の明確化
2.相手の反応を想定したシミュレーション
3.その上でカオスを歓迎すること
3.議論の可視化
これらの事柄を日々の会議の中でも徹底していくことによって、チームはより効率的、効果的に機能するのではないでしょうか。それによってチーム、クライアントがよりハッピーに、かつ成果を出していけるようにつとめていきたいと思います!